カテゴリー: 忍峠12

  • 忍び峠12,006

    忍び峠12,007

    ジーンが忍び峠12のメンバーに加わってから二週間が過ぎた。

    ルイ「ジーンちゃん。共通語の会話を教えて。ほーら、ジーンちゃんが大好きな、オレンジ・チョコレート「マーマェラ」が在りますよ」

    ジーン「あー、ムカつく。このサイコパス女になんで、共通語を教えなければならないの。ね、カメラ太郎」

    カメラ太郎「チームワークヲ著シク乱ス質問ニハ答エラレマセン」

    ルイ「早く、来ないと、ルイちゃんが全部食べちゃいますよ。ほら一個食べた。あー美味しい」

    ジーン「このサイコパス女、早く「マーマェラ」が売っている店を教えろ!」

    ルイ「ダーメ。さ、早く来るんですよ。ジーンちゃん。そして共通語会話を教えたら、ご褒美で美味しい「マーマェラ」が食べられます」

    ジーン「あー、判ったよ。教えればいいんだろう、教えれば。嫌だな」

    スズメ「なんで、ルイは、そんなに共通語の勉強をするんッス。共通語の偏差値が53もあるのにッス」

    ルイ「ピココ達と再会したら、抜け忍になるため、ぶべっし!あっ!いきなり、警告もなしにスズメがビンタした!」

    ツバメ「おいおい、ルイ。軽々しく抜け忍になるとか言うなよ。ビンタ食らって当然だ」

    スズメ「ルイは、抜け忍になることが、どれ程辛いことか判っていないッス」

    ルイ「だって、ジーンに共通語を習って、共通語が上手くなったらピココとレニーとサイに再会したら、上手く謝って仲直りできるもん」

    ツバメ「でも、ジーンも弱点が多いからな。共通語と、数学と化学と物理は偏差値が70越えているけれど、他の科目は、みんな偏差値がツバメ達、忍者と同じ25台だし。身体能力が高いと思ったら、頭に変な機械でダウロードした身体運動を自動で行っていただけだし」

    ジーン「なんで、ツバメは、楽譜が読めなくて、音楽の偏差値が25なのに、あんなに歌が上手いの」

    ツバメ「あたしは、カラオケが好きだから、楽譜が読めなくても、ボーカルパートを演奏してもらったら、一回聞いて、そのまま真似して歌えるんだよ」

    スズメ「でも、ジーンは、ヤマト語の会話を一週間でマスターしたッス」

    ジーン「でも漢字は書けない。あー悔しいな」

    ツバメ「安心しろジーン。ツバメ達、忍者も漢字は自分の名前ぐらいしか書けない。漢字は難しいんだ」

    ジーン「でも、ルイが、チート忍術を会得しているとは思わなかった」

    ツバメ「ルイが、チート忍術を持っていなかったら、シグレ様が忍び峠12のメンバーにスカウトするはずないだろ」

    ルイ「みんなで、ルイちゃんをイジメている。酷いんだ。だから、ルイちゃんは、いじけるんだ。いじいじいじ…」

    スズメ「ジーンは、コモンの人達から人気があるッス」

    ツバメ「悔しいけれど、ジーンが加入してから、忍び峠12は売れ始めているし。以前は128chでネタキャラにされているだけだったし」

    スズメ「ジーン様様ッス」

    ツバメ「ギャラが、忍者の少ない給料に上積みされるのは在り難いか。ギャラを食い物に無駄遣いしているヤツもいるし。忍者の自重筋トレを、ちゃんとやれ」

    ルイ「あ、ツバメが、ルイちゃんをイジメている。イケナイんだ」

    シグレ「こら、お前たち。ルイを仲間はずれにするな。それに、ルイも食べ物でジーンを釣るな」

    ルイ「シグレ様。だって、スズメとツバメは同性同士のカップルだし。ジーンは、ヤマト人を差別しているし」

    スズメ「はあ?何言っているッス」

    ツバメ「おいおい、ツバメとスズメは、陣を奪い合っているんだ」

    ジーン「私が差別するのは忌々しい「共存派」の売国政治家達だよ」

    シグレ「だから、ルイも言葉を選べ。そうだな、みんなで、ルイがジーンを釣っている、オレンジ・チョコレート「マーマェラ」を売っている店に行くのはどうだ。どうした…ルイ?なんで泣いている」

    ルイ「スズッ、だって、ピココもレニーも、サイも、そうやって、ルイと一緒に買い物してくれたもん…」

    シグレ「ほら、泣くなルイ。じゃあ、みんなで、買い物に行くぞ。ルイはジーンに「マーマェラ」が売っている店を教えるのが今回の任務だ」

    ルイ「(にやり)…良いんですか?あの店「マーマェラ」より美味しいチョコが沢山あるんですよ」

    二時間後。

    ツバメ「ああっ!どうしよう!ツバメはダイエットしてるから食べなくてよかった。ツバメ以外、みんな食べ過ぎで倒れている」

    五時間後。

    シグレ「これから、仕事と任務の説明をする」

    スズメ、ツバメ、ルイ、ジーン「はーい」

    シグレ「次は、ポラリーナ王国で、芸能活動をする。そして、同時に忍者としての任務で、フラクター選帝国の、元老院議員、アレン・キーリング商務総省の副大臣の、護衛を行う」

    ツバメ「アレン・キーリングって有名な二世議員でしょ。親の七光りで、スピード出世している食わせ者って有名じゃない。私が愛読しているタブロイド紙の電子版に書いてあったし」

    シグレ「余計な事を言うなツバメ。我々、フラクター選帝国の忍者達は、フラクター選帝国のために働けばいい。ジーン、あらかじめ聞いておく。アレン・キーリングは「共存派」だが、「独立派」の、お前は、この任務に参加できるか?」

    ジーン「それは、難しいですね。お父さんに聞いてみます。おーい、お父さん」

    キカイ博士「どうしたんだ、ジーン」

    ジーン「お父さん。忍び峠12の任務で、アレン・キーリングという「共存派」の売国クソ野郎を護衛する任務に参加してもいい?」

    キカイ博士「そうか、ジーン。結論から言えば許可する。アレン・キーリングは「共存派」だ。だが、暗殺された父親のナシス・キーリングは元「独立派」の重鎮でタビヲン王国の混沌の大地戦争が終結してから、「共存派」へ鞍替えの動きをしていた。アレン・キーリングは「共存派」だけでなく、「独立派」からも人気が高い元老院議員だ」

    ツバメ「日和見主義者だから父親が殺されたのよ」

    シグレ「ツバメ、余計なことは言うな。再度確認をする。キカイ博士、ジーンを、参加させて構わないか?」

    キカイ博士「うん、ジーンの作戦参加を許可する。おや、どうした、ジーン」

    ジーン「あの売国クソ野郎は、許せない。許せない。許せない…」

    キカイ博士「マズイ。思想教育が行き過ぎたのかもしれん」

    ジーン「お父さんが、教えてくれたんじゃない。「共存派」の売国クソ野郎は粛清しろって」

    キカイ博士「蝉川さん、ジーンが暴走しないように監視してくれ」

    シグレ「了解した」

    フラクター選帝国製の空中に浮かぶ、路線エア・バスでボラリーナ王国に到着した「忍び峠12」。首都メレンのテレビ局「メレン放送」で、歌謡番組の収録に行く。事件発生。

    高慢ちきな女の声「そこにいる野猿達は、邪魔じゃなくって」

    長い金髪の巻き毛の少女が、背後に同じ制服を着た、少女たちを従えて腕を組んでいる。

    ツバメ「何、この女。何、イキっているんだよ」

    長い金髪の巻き毛の女「私は、コモンで、一番有名な、バイオリニスト「公爵夫人」の娘、イザベラ・クトイハですわ。野猿達は、お退きなさい」

    スズメ「ふざけるなッス」

    ツバメ「テメェ、何言っているか判っているのか、コラ」

    ルイ「……」

    ジーン「はあっ?」

    毛皮のコートを着た老人が前に出てくる。

    毛皮のコートを着た老人「ハハハハハ、この若い女達は、私がプロモーションをする、ガールズユニット「エレガンサー13」だ。失礼。私の名前は、スノッブ・ブリーチャー。「ブリーチャー・プロダクション」のオーナーだ」

    金髪の若い女「私の名前は秘書の、ミス・ゴージャ」

    赤毛の若い女「私の名前は秘書の、ミス・マニッシャー」

    黒髪の若い女「私の名前は秘書の、ミス・イハレグ」

    シグレ「私は、「忍び峠12」のプロデューサー「SIGRE」です、ウチの若いのは、血気盛んで、そちら様の、お嬢様方に不愉快な思いをさせたようです。どうです、ここで名刺交換でもしませんか?」

    スノッブ・ブリーチャー「ハハハハハ、良いだろう。ミス・イハレグ、名刺を出してくれ。「SIGRE」さんと名刺交換をする」

     収録に向かうスノッブ・ブリーチャー達。

    ツバメ「なんだい、あの老人は。何様のつもりだい。三人も女の秘書連れて」

    シグレ「気をつけろ。あの老人は、コモンで最近勢力を伸ばしている、多国籍犯罪組織「ナックル・カンパニー」と関係のある男、スノッブ・ブリーチャーだ。お前達も上手く「エレガンサー13」と付き合え」

    スズメ「無理ッス」

    ツバメ「スズメと同じ」

    ルイ「野猿は酷いなぁ。ピココ達は、こんな可愛いルイちゃんを、ヤマト・ドールって褒めてくれていたのに。許せないな。許せないなぁ。どうしてくれようかな」

    ジーン「アイツ等、ただの、バカの寄せ集めじゃないですか?」

    シグレ「お前たち、無理か?」

    スズメ、ツバメ、ルイ、ジーンが異口同音に「はーい」。

    シグレ「お前たちは若いからな。集まれ。内密の話だ」

    いそいそと周囲を気にしながら、集まるスズメ、ツバメ、ルイ、ジーン。

    シグレ「今晩、アレン・キーリングは、このポラリーナ王国の我々が居る、首都メレンに、元老院専用機で到着する。そして、フラクター選帝国とポラリーナ王国の通商交渉を開始する。フラクター選帝国にボラリーナ王国産の畜産物の輸入量を増やす条約の全権を元老院議会から任されている。既に、「独立派」の暗殺部隊が、ポラリーナ王国に到着したとの報告が、シビリアンズ経由で入ってきている。通商交渉は深夜にまで及ぶ可能性が在る。これから我々の任務の内容を説明する」  

    「次回!忍び峠12。バトル開始!」

  • 忍峠12,005

    忍峠12,005

    スパイだったジーン。シグレ、スズメ、ツバメはジーンと対峙する。そしてエクレアを食べているルイ。

    シグレ「本当に、クローン人間だったかのか。カマを掛けただけだが」

    ジーン「汚いと思います。騙すなんて」

    シグレ「ならば、お前の所属は。フラクター選帝国帝国元老院直属の情報組織「シビリアンズ」の一員だな」

    ジーンはポケットから、手榴弾を取り出した。

    ジーン「行動フェーズ…、皆さん自爆しましょう。ここに超高性能爆弾があります」

    シグレ「ハッタリだな。自爆する気なら、安全ピンを外している」

    ジーン「汚いと思います。逃げ出さないんなんて」

    ツバメがポキポキと指を鳴らした。

    ツバメ「シグレ様。ツバメがジーンを捕まえて、ふん縛って、拷問に掛けます。そして、「シビリアンズ」の情報を全てゲロさせます」

    ルイ「ジーンちゃんが拷問で廃人になったら、ルイちゃんが、着せ替え人形にして可愛がります。安心してください。どんな、服が似合うかな」

    ジーンは顔が青ざめてダラダラと汗を流していた。

    ジーン「まずい…ゴリラ女の忍者に、サイコパス女の忍者だ」

    ジーンの周りから風が巻きあがった。

    シグレ「気をつけろツバメ。ジーンは風の精霊使いだ。精霊使い型の兵士の実験体の噂がコイツだ」

    ツバメ「私に任せてくださいシグレ様。「看破ノ矩」」

    ジーン「危ないですよ。シールド・ウインドの中に、ブレード・ウインドを混ぜます」

    部屋の中の床やソファが切り裂かれた。

    だが、ツバメは、ジーンが起こした風の中に入っていった。正確には風がツバメを避けていた。

    ジーン「精霊が見える?何が起きているの?」

    ツバメ「これが狼煙家の忍術「看破ノ矩」だ。全ての魔法でも剣技でも、あらゆるモノの弱点を見切る。そして中に入っていける」

    ツバメはジーンの前に立った。

    ジーンは泣き出した。

    ジーン「びえええええええええん、お父さん助けて!ヤマト人のゴリラ女に殺されるよ!」

    ツバメは、ジーンの両頬を持ってグニグニと引っ張った。

    ツバメ「ピーピー泣くんじゃねぇよ!お前が、空飛んで、アタシたちの仕事の邪魔していたんだな!危うく何度も捕まるところだったわ!こちとら命がけで忍者やってんだぞ!それに、そのゴリラ女発言は許せないな!」

    カメラ太郎から三次元ディスプレイが浮かび上がって、サイボーグの老人が現れた」

    キカイ博士「まってくれ、ジーンは、私の娘のクローンなのだ」

    シグレ「やはりな。お前が出てくることは、時早見で見ていた」

    キカイ博士「ジーンは、私の大切な娘だ、イジメないでくれないか」

    シグレ「説明してくれないか」

    キカイ博士「私の名前はキカイ・ザ・マシーン。通称キカイ博士だ。かつて、デュラント・セラミカという人間だったが、今は、サイボーグ科学者となっている」

    シグレ「精霊使い兵士を人工的に製造する計画の噂は聞いたことがある。なぜ、クローン人間を作った」

    キカイ博士「予算だ。勝手に政府の予算を使って自分の娘のクローン人間を作ることはフラクター選帝国では国庫金横領罪になり許されない。だから、娘のクローン人間作製のための予算獲得のために、自分の娘の遺伝子に精霊使いの遺伝子を組み込んだ、量産型精霊使い兵士ジーン・シリーズ作成要綱を提出し受理された」

    シグレ「なぜ、ジーン・シリーズを作った。なぜ自分の娘のクローン作る必要があった」

    キカイ博士「私の娘のジーンは、私と政治的に対立して反対陣営に行った。激しく対立し、激しく罵りった、あんな娘は要らないと私は心底思った」

    シグレ「で、どうした」

    キカイ博士「私は、人間の感情を捨て去るためにサイボーグになった。そして、ジーンのような失敗作を育てないために、私と政治的な主張が一致する、「思想教育」をインプットした、ジーンのクローン人間ジーン・シリーズを作成した。その二番目の「タイプ・エアリエル・ダイバー」が、ジーン・ツヴァイ・セラミカだ」

    シグレ「フラクター選帝国ヤマト領の豪霊時将軍家は、「共存派」だ。だが、タイクーン家は「独立派」だ。知らないのか?」

    キカイ博士「ま、まさか、君たちは、タイクーン家の忍者ではなく、将軍家の忍者なのか?私は「独立派」なんだ、そしてジーンも「独立派」として「思想教育」をインプットされている」

    ジーン「皇帝陛下バンザーイ!コモン人を皆殺しにしろ!フラクター選帝国は優生人種の集まりだ!進軍ラッパを吹き鳴らせ!」

    ツバメ「シグレ様、どうします。ここでジーンを消去しますか?このサイボーグとクローン人間の親子達は、すっげぇバカ」

    シグレ「まあ、いい。政治的な対立は、どこでも起きる。正体が判ったジーンは無害だ。キカイ博士、取引をしよう。お前の娘は「独立派」だが、我々「共存派」のフラクター選帝国ヤマト領の将軍家の忍者たちは、ジーンを仲間として迎え入れる。それで良いかなキカイ博士?」

    ジーン「お父さん。私がシビリアンズの一員だってバレちゃった」

    キカイ博士「なんということだ、ジーン。それはマズイ。シビリアンズは、フラクター選帝国元老院の存在自体が秘匿されるスパイ組織だ。お前が、その一員だということは機密事項なのだよ」

    シグレ「ジーンは、精霊使いだ。我々、ヤマト領の忍者達の、任務に参加してもらう。いいなキカイ博士。ヤマト領の将軍家の忍者達も必ずしも一枚岩ではない。繰り返すが、「必ずしも一枚岩ではない」。我々将軍家の「共存派」の忍者たちが、「独立派」と手を組めないわけではない。キカイ博士、お前の愛娘のジーンの扱いも悪いようにはしない。どうかな?」

    ルイ「え、私、コモンの人たちと仲良くしたいから「共存派」の方がいいです。ぶべっし!」

    据わった眼をしているスズメ。

    ルイ「よくも、ぶったね、スズメ。ツバメだってビンタはしなかったのに」

    スズメ「なんで、ルイは、ヤマト人を大切にしないで、コモンの友達を大切にするッス!」

    ルイ「…だって、ヤマト人の友達いないもん。ぶべっし!また、ぶったね…スズメ…」

    据わった眼をしているスズメ。

    スズメ「説明するッス」

    ルイ「うちの鏑矢(かぶらや)家は、忍びの名門だから、勉強して忍者マスターを目指せって、子供のころから親に言われて、忍者学校の小学生の時に既に挫折していたし」

    スズメ「忍者マスター、煉獄京様の名前を継げる忍者は、ごく少数ッス。そんな過去があったのかッス」

    ルイ「だから、一生懸命コモンの共通語を勉強して偏差値53まで上げたし」

    ツバメ「それで、共通語の偏差値が、そんなに高いのか。コモンは、そんなに良い場所か?」

    ルイ「だって、ピココたちと一緒に食べた。Tボーンステーキが美味しすぎて一キログラム完食したし、みんなで、直径3フィートのピザを食べて一時間ぐらい動けなくなったり…レニーは魔法使い見習いだけれど、結構食べるんですよ。スカウト・ウォッチのサイが、鮭を丸ごと、特性ガーリックソースでキャンプファイアーで焼いてアウトドア料理を食べたり…、巨大ハンバーガーを持ってダンジョンに入ったり…」

    ツバメ「お前は、食い物の事しか考えていないのかよ!忍者なら、しっかりカロリー計算しろよ!そういや、お前、母親から渡された忍者スーツのサイズを直していないだろう?もしや…」

    ルイ「ええ、ピココとレニーと、サイと一緒にいたときから、私の忍者スーツのサイズは同じです。フラクター選帝国から任務でミドルン王国に潜入している間、忍者スーツのウエストを仕立て屋で直した以外は、変わっていません。大体、巫女服の袴はウエストを直さなくても着られますから」

    ツバメ「そういうことか」

    スズメ「ルイは、何が不満ッス」

    ルイ「だって、ヤマト領ってスゴイ競争社会じゃないですか。受験虐殺が子供のころから始まって…私は、冒険者のヤマト人の巫女、留衣で良かったんですよ…」

    キカイ博士「ウンウン、そうだね、若さだね。忍者にも反抗期があるんだね…私も十代の反抗期の頃は確率偏微分方程式の研究をして反抗していたものだ…懐かしいな…」

    シグレ「貸しを作るぞ、キカイ博士。後日、将軍家の忍者が、そちらに赴く。お前の娘は、「忍び峠12」のカメラマンから、ユニット・メンバーになる」

    キカイ博士「嬉し恥ずかし、ウチの娘が芸能人になるなんて。どうしよう。困っちまった。おーい、ジーン、ラボの、みんなと一緒に応援するからな、頑張れ」

    手を振るジーン。

    ジーン「判ったよ、お父さん。これからジーンは、普通じゃない女の子に変わります」

    キカイ博士「こちらからも、シビリアンズのメンバーが忍者マスターに、接触する。お互いフラクター選帝国の一員だ。「独立派」と「共存派」の些細な違いがあっても、フラクター選帝国のために協力はできるだろう」

    シグレ「良い提案だ。受けよう。忍者マスター煉獄京様と、シビリアンズ長官への情報提供の相互ルートを作る。情報のやり取りをしよう」

    「次回!忍び峠12。フラクター選帝国要人警護任務!ポラリーナ王国に渦巻く陰謀!」

  • 忍峠12,004

    忍峠12,004

    シグレ「お前たち、フラクター選帝国帝国陸軍広報部から着任した、帝国陸軍広報部のジーン・ツヴァイ・セラミカ少尉と、カメラロボットだ。今後、我々は、カメラマンと行動を共にする。セラミカ少尉、自己紹介をしてくれ」

    ジーン「行動シーケンス…間違えました。えっと、私は、ヤマト領からの要請で、みなさん、「忍び峠12」の芸能活動をフラクター選帝国の国威発揚の一環として、お手伝いします。こちらは、撮影ロボットのカメラ太郎です」

    約一か月間、「忍峠12」は、ミュリンゲルン王国も含めた、大国ミドルン王国周辺の小国家の国々でパフォーマンスを行っていた。目指すは、中コモンの大国ミドルン王国の首都、浮遊都市ウダルの、「カワセミ館」のステージ!

    現在、ポルントゥ王国。首都リスリスの深夜23時25分

    ツバメ「やっぱり、忍者なんだね、私たち」

    スズメ「ポルントゥ王国の内務省の秘密文章をデジカメで撮影したッス」

    ルイ「高速の忍者走りキッツう。少しペース落としません?」

    ツバメ「追われてるのよアタシたち」

    スズメ「スピードを落としたら捕まるッス」

    ルイ「ああ、息が上がってきた…」

    ツバメ「お前は、いい加減に痩せろ!」

    ルイ「遠回しに太っているって言っている。ツバメ殺す」

    ツバメ「ルイ!スズメと一緒に忍者の自重筋トレをしているんだろう!」

    スズメ「半年近く、忍者の修行をしていなければ、戻すのは大変ッス」

    ツバメ「なんだ、あの空飛んでいる女は!また、あの女か!あの女が、現れると、いつも見つかるんだよ!」

    スズメ「コモンは、ヤマト領よりも怪しい人物が多いッス。妖怪変化の巣窟ッス」

    ルイ「相変わらず、空中で、サーフィンしていますね」

    ツバメ「げ、グリフォン・ライダーの警備隊に、あの女追われている」

    ルイ「私たちは、騎馬警邏隊に追われています。私、忍者走りで走るのが辛いので全員を口封じします」

    スズメ「ダメッス。そんな理由で、追われているからって騎馬警邏隊を虐殺してはダメっす」

    ツバメ「だから、ルイは痩せろ!お前は忍者なのにカロリー計算を考えずにコモンの美味い食い物を食っているだろう!」

    ルイ「どうします?騎馬警邏隊は、どんどん集まってきて、百人近く追ってきています?」

    ツバメ「スズメ、乱波家の忍術「壽壽眼を使え!」

    スズメ「あれを使うと、視力が一時間ぐらい0.01まで低下するッス」

    ツバメ「ルイと一緒に担いでいく。ルイ!何、食っているんだよ!ああっ、私がスズメを担いで運んでいくから使え!」

    スズメ「判ったッス。「壽壽眼!開眼点睛!」ッス!」

    突然追ってきた騎馬警邏隊の馬が足を滑らせて全員が巻き込まれて転倒して倒れてしまう。そして百人近くの騎馬警邏隊は全員転倒のダメージで動けなくなった。

    ルイ「凄まじ過ぎ、これが、乱波家秘伝の忍術「壽眼」でも、噂では、一度使うと命に係るはずでは?」

    ツバメ「スズメは特別だ!さあ追っ手は全滅した。スズメを担いでシグレ様の所に戻るぞ」

    スズメ「ううっ…眼がよく見えないッス」

    ツバメ「スズメを担ぎながら忍者走りをするのも慣れているから、任せろ」

    場面は変わって。ポルントゥ王国の下町の旅館「スーラスーラ」。

    シグレの前に、スズメ、ツバメ、ルイが集まっていた。

    ジーンは、いなかった。

    シグレ「「忍峠12」は、現在、コモンでは、少し知名度が広がってきた。ミュリンゲルン王国で、お前たちのファン・クラブが出来たようだ。女性の方が多いファンクラブだ。フラクター選帝国が独占的に提供しているSNS「LinkersPal」では、お前たち「忍峠12」は、かなり話題になっている。ルイが、アドリブで言った事でウケが取れたようだ。「彼女たちは、本物の忍者なのか?」という話題だ」

    ルイ「ヤッター!ルイちゃん、お手柄!」

    ツバメ「自分で言うなルイ」

    扉が開いた。

    ジーン「皆さん、ただいまです」

    スズメ「あ、ジーンが帰ってきたッス。こんな夜更けに何をしていたッス?」

    ツバメ「なんか、自分が可愛いからって自惚れていない?ジーン」

    ルイ「お人形さんみたいだから、髪の毛を梳かそうか?」

    ジーン「キモイから止めてください。自分のブラッシングは、自分で、できます。私は、帝国陸軍の広報部の仕事をしています。それが仕事です」

    シグレ「確か、今日も、カメラ太郎と一緒に、リスリスの夜景の撮影に行ったようだな」

    ジーン「ええ、そうです。美しい夜景です。「忍峠12」の仕事の他に、フラクター選帝国陸軍のPR用の写真や動画を撮影しています」

    シグレ「そうか。では、ジーン。何度か打診をしているが。「忍峠12」に加入をしてくれないか?コモン人の女性がメンバーに加わったほうが、「忍び峠12」に人気が出ることは間違いないだろう」

    ジーン「行動シーケンス…え、ダメですよ。私は、運動神経が皆さんのように良くないから、フラクター選帝国帝国陸軍で、広報課に務めているんですよ」

    ツバメ「確かに、アタシ達、忍者は、体育の偏差値だけが70オーバーだけれど。他の教科は基本的に偏差値28だからね。ルイはコモンの共通語が得意だけれど」

    ルイ「私だって、コモンの共通語の偏差値は高くないですよ。私の共通語の偏差値は53です。本当もっと共通語が上手くなりたいんですよ」

    スズメ「大丈夫ッス。ジーンも踊ればいいッス。一緒に教えるッス」

    ジーン「行動シーケンス…でも、踊りの才能は無いんですよ。歌も下手ですし。ですから、わたしは、皆さんをサポートする事が仕事です」

    ツバメ「でも、踊りが下手な子が居たほうがいいかもね。「LinkersPal」では私たちの踊りが上手過ぎて、気味が悪いとか、書いてあったし」

    ジーン「行動シーケンス…私にグズで、ドジで、ドベな、かわいそうな、皆さんの引き立て役をしろと言うのですか?」

    ルイ「確かに、健気なジーンが鬼嫁のツバメにイジメられているシーンを「LinkersPal」で流したら、ジーンに爆発的に同情が集まるでしょ」

    ツバメ「ルイ、その設定は、なんなんだよ!せめて鬼コーチにしろ!」

    シグレはテーブルの上の菓子皿からエクレアをとり上げた。

    シグレ「ジーン」

    シグレはジーンめがけて、エクレアを投げた。音速を超える音がした。ジーンはハッとした顔をしながら、エクレアを腕で跳ねて避けた。

    そしてジーンは背後にバック中をして身構えた。

    ジーンが跳ね除けたエクレアはルイが受け取っていた。

    ルイ「ああっ、もったいない、シグレ様、食べ物を粗末にしては行けません。私が食べますムシャムシャ。走っているからカロリー補給が必要ですよね」

    ツバメ「こんな時に食うなルイ!ジーンのあの身体能力は、おかしいだろう!」

    スズメ「確かに、シグレ様の手裏剣投げの速度は音速を超えるマッハ1.27ッス。忍者でも避けるのは困難ッス」

    シグレ「ジーン・ツヴァイ。お前は、フラクター選帝国の元老院から送り込まれたスパイだな」

    ジーン「(笑顔のまま)行動シーケンス…え、何のことでしょうか」

    シグレ「ヤマト領の忍者をナメるなジーン。既に身分照会を行った。確かにフラクター選帝国陸軍には広報課がある。そしてお前も、そこに書類上は在籍している。だが、お前の勤務記録は捏造されていた。ジーン・ツヴィ。お前はクローン人間だな」

    ジーン「ばれましたか」

    睨み合うジーンと、シグレ、スズメ、ツバメ。エクレアを幸せそうな顔で食べているルイ…。

    次回「ジーンの秘密。そして、新メンバー、ジーン・ツヴァイ加入!」

  • 忍峠12,003

    忍峠12,003

    場面は、リニア・レールの車内。シグレは少年漫画雑誌「週刊ベアナックル」を読んで笑っていた。

    スズメ、ツバメ、ルイは、タブレット端末Fトームで、「忍峠12」のランキングを確認していた。

    ルイ「で、スズメ先輩とツバメ先輩が、収録した、ミュージックビデオの順位は、フラクター選帝国ヤマト領の「ランカーズ・チャート」で251番目です」

    スズメ「全然売れてないッス」

    ツバメ「ちっ、スズメが居るから売れないんだ。アタシだけソロデビューすれば良かったのに。スズメなんか音痴だからバックダンサーで十分よ」

    スズメ「ツバメ、酷いッス」

    ルイ「酷いと言うより最悪と言うんでしょ?この女、最悪」

    ツバメ「ルイ。後輩が、イキってんじゃないよ」

    ルイ「ふん、知らない。じゃあ、フラクター選帝国のリニア・レールの駅弁。フラクター選帝国名物の合成食、培養肉の
    ポークランチョンミート・サンドを食べますか」

    ツバメ「ルイ、お前は太っている。だから食うな。駅弁を抜け。一食ぐらい食わなくても死にはしない、そのポークランチョンミート・サンドは、脂質35gが3個入りだ、食ったら確実に更に太る」

    ルイ「失礼な。どこが、どう太っているんですか。この可愛くて楚々とした私の、どこの、どこら辺が太っているんですか?」

    ツバメ「お前は、引きこもっている間に、怠けて忍術の修行を怠り、太っているはずだ。このツバメのウエストサイズ・スキャナーでは、お前は、プロフィール写真の時よりも8㎝ウエストサイズが増えている」

    ルイ「(ぎくっ)。…一度忍者になったら、身に着けた実力と忍術は一生高い状態なんですよ。すぐにウエストも戻りますよ」

    ツバメ「ははぁん、やはり、心当たりがあるな」

    スズメ「ツバメは、無理してダイエットしているから他人に八つ当たりするッス。ルイは気にしてはイいけないッス。ルイ、狼煙家に伝わる忍術「矩」は、なんでも計測できるッス」

    ルイ「私だって、体重が増えていることは薄々感づいているんですよ」

    スズメ「ルイ、一緒に忍者の自重トレーニングに付き合うから、脂肪を有酸素運動で落とすッス」

    ルイ「あれ、ハード過ぎるからイヤなんですけれど」

    スズメ「低い強度のメニューから開始するッス」

    ツバメ「現実を直視しろ、お前はプロフィールの体重51キログラムから59キログラムに増えている。この「矩」で測れば、お前の、実は自分は太っていないかもしれない、という淡い期待は打ち砕かれる」

    ルイ「この性格最低の女には太っているって言われたくない」

    ツバメ「随分と反抗的な後輩だな」

    スズメ「ツバメ、先輩面しちゃダメッス」

    蝉川時雨「おーい、お前たち。「ランカーズ・チャート」を、今、ケータイで、操作した。ヤマト領の中で、ランキングが、二十位まで上がっているはずだ」

    スズメ「裏工作ッス」

    ツバメ「スズメ、見なよ。確かに「Fトーム」でランンキングが変わっている。私たちのミュージックビデオが、急に激売れよ」

    ルイ「確かに、Wb3ファイルの「ワタシらしくって???」が激売れです」

    蝉川時雨「そして、YHKの「お元気ですかヤマト領」で、お前たちが、ルイを連れてくる前に収録した、ミュージックビデオが流れる段取りができている」

     リニア・レールは、終点のミュリンゲルン王国に到着。

     ツバメ「外国か(デデーン)。ここは敵地だな」

     スズメ「ただの通行人しかいないッス。警戒したら逆に怪しまれるッス」

     シグレ「フラクター選帝国から、ミュリンゲルン王国のテレビ局、MKBC(ミュリンゲルン・キングダム・ブロードキャスティング・コーポレーション)に裏工作が行われている。あの噴水の前に行け、テレビ局のクルー達がいるだろう」

     スズメ「行くッス」

     MKBCの女性アナウンサー「はい、みなさんが、フラクター選帝国ヤマト領から来ました、忍者だけの期待の超新星ユニット「忍峠12」ですね。あなたが、リーダーのスズメさんですね」

     スズメ「そうッス」

     MKBCの女性アナウンサー「では、あなたたちは、本当に、あの忍者なんですか?」

     ツバメ「えっとぉ、私たちは忍者です。てへっ」

     MKBCの女性アナウンサー「本当ですか?」

     ルイ「(カメラ目線)では、私たちが、本当の忍者か当ててください。ね、皆さん?」

     MKBCの女性アナウンサー「では、「忍峠12」のデビューソング「ワタシらしくって???」です」

     スズメ、ツバメ、ルイの、ダンス・パフォーマンスが開始される。

     MKBCの女性アナウンサー「それでは、「夕暮れに会いましょう」のリポーター、シュティファーでした。ミュリンゲルン中央駅の噴水広場から、お伝えしました」 

     

     ルイ「視聴率は、どのぐらいですか」

     MKBCのテレビクルー「ああ、この時間帯の平均的な視聴率ですよ、平均視聴率にプラス0.25パーセントです」

     ツバメ「う、売れない。なぜ? なぜ? なぜ? MKBCの視聴率に何の変化もない。なぜ、ここは、爆発的にヒットしないの?」

     MKBCの女性アナウンサー「よく考えてくださいよ。ヤマト人の女性だけの歌と踊りのユニットが、コモンでウケると思いますか?」

     ツバメ「なにぃ、てめぇ、アタシの魅力が世界で通用しないと言うのかい!貫手で腹に穴開けて背骨をガタガタ言わせるよ!」

     スズメ「ツバメ、落ち着くッス。一般人に手をあげては絶対ダメッス!」

     ツバメ「だって、私は…私は、有名になって、本当の…」

     スズメ「ダメッス、それは秘密ッス!ルイに聞かれてはマズイッス!」

     ルイ「(ジト目)なんか、隠し事をして居ません?私だけ仲間外れじゃないですか?嫌だなぁ。なんか、見えない壁を感じていますよ。なんか酷くありません?」

     ツバメ「うっ、ちゅべたい」

     シグレ「コーラを飲んで、頭を冷やせツバメ。ほら、おごりだ」

     ルイ「あ、ツバメ涙目。鬼の目にも涙」

     シグレ「余計な事を言うなルイ。お前たちのコーラもある」

     ツバメ「判りましたよ。少しは頭を冷やしますよシグレ様。あーシュワーっと美味しい」

     シグレ「スズメは、軽度の言語障害があるから、音痴の事を言うな。ほらツバメ、スズメに謝れ」

     ツバメ「確かに、そうだよね、言い過ぎだった。ゴメン、スズメ」

     スズメ「いいッス。ツバメとの付き合いは長いッス。ツバメだから許すッス」

     シグレ「我々ヤマト人の忍者は、コモンのことを知らな過ぎたようだ。将軍家の、忍者マスター煉獄京様の力で、フラクター選帝国ヤマト領では、根回しと裏工作で、「ランカーズ・チャート」を上げるのは簡単だ。だが、コモンのミュリンゲルン王国ではガチで通用せん。問題だ。危うくコンサートを開く所だったが。今のままでは、チケットは全然売れないだろう」

    ルイ「なんで、私に視線が集まるんですか」

    スズメ「ルイは、コモンで冒険者をしていたッス」

    ツバメ「お前は、どんな恰好をしていたルイ?」

    ルイ「冒険者時代は、巫女服を着ていたんですよ。町ではセーターとかロングスカートとか、そんな感じですよ」

    シグレ「作戦を練り直さなければならない。「忍峠12」が、コモンでスターダムを達成するために」

    スズメ「判ったッス」

    ツバメ「ええ、必ず、スターダム達成です」

    ルイ「ピココと、レニー、サイに再び会うために」

    「次回、フラクター選帝国本国からカメラマン到着。ジーン・ツヴァイとカメラ太郎登場」

  • 忍峠12,002

    忍峠12,002

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    スズメ「シグレ様は酷いッス。いきなり歌と踊りのミュージック・ビデオの収録ッス。その後に、こうしてルイの家の前に居るッス」

    ツバメ「やっぱり、わたしって、生まれつき歌の才能が在るのね。カラオケマシーンの高得点は伊逹じゃない。音楽は通知表でいつも5だし」

    スズメ「ルイは、忍者高校の一歳後輩ッス。引きこもっているって本当かねッス」

    ツバメ「アイツさ、コモンの共通語が得意だからって、絶対鼻にかけているよきっと。外国の任務で、ミドルン王国の機密情報を手に入れて帰ってきて、手柄立てているからってさ。超S級のミドルン王国の機密情報って、どんだけ凄い秘密よ」

    スズメ「チャイム押すッス。しんどいッス」

    ルイの母親「誰ですか」

    スズメ「上忍の蝉川様から、任務が下りましたッス。ちょっと、そちら様の、お子様を、お借りしますッス」

    ルイの母親「自分で来なさいよ、あの女。時早見の力で、二十代前半で上忍に抜擢されて、ちょっと何様のつもり。うちの子に限ってって思っていたのにルイは引きこもりになって、ええい」

    スズメ「蝉川様から、手土産ッス。粗品ですが「尾上屋」のスイカ・クリームの「丞恕スイカ」ッス」

    ルイの母親「そんなもの要りません。なんで、蝉川様が直々に来ないのですか。ルイをコモン送りにしたのは蝉川様です」

    スズメ「上忍の蝉川様から、ルイを、任務に参加させるように命じられたッス」

    ツバメ「ルイが半年近くヘタレて、引きこもりになっていることは知っています」

    ルイの母親「とにかく上がってください」

    スズメ「ここがルイの部屋ッス」

    ツバメ「なんか、このあたり急に臭くない、お母さま開けます」

    ルイの母「この子は、半年近く、部屋に引きこもっているんですよ。部屋に入れてくれなくて部屋の前に置いた、ご飯を食べて、忍術で、いつの間にかトイレに行って」

    ツバメ「臭っさ。ルイ、あんた、どのぐらい、お風呂に入っていないのよ?」

    ルイ「入ってくるな」

    スズメ「ルイ、忍者の任務が下ったッス。スズメ達と一緒に来るッス」

    ルイの声「全部スルーする」

    ツバメ「あんたね、忍者が、任務の選り好みが出来ると思うのかい。忍びの道をナメんじゃないよ」

    ルイの声「忍者辞めたい」

    ツバメ「こいつ、殴る」

    スズメ「ツバメ止めるッス。話し合うッス」

    ツバメ「止めるな、スズメ」

    スズメ「ルイは、なんで引きこもっているッス?」

    ルイ「お前達には言わない」

    ツバメ「ルイ、拷問に掛けるぞ、判ってんのか?そして白状させる」

    ルイの母親「最初、ルイが帰ってきてから、突然泣き出して。冒険者パーティで知り合った友達達を裏切ったって言って、そのまま引きこもっているんですよ」

    ツバメ「は、あんた、潜入していた冒険者のパーティの連中達を友達と思っているのか。バカじゃねぇの?」

    スズメ「ルイが、引きこもっていて、その冒険者の友達たちが、良いと思うッスか?」

    ルイ「確かに、それは、そうだけれど、騙しているでしょ」

    ツバメ「スズメ、こういう粘着質のウジウジ女はヤキを入れて判らせるんだよ」

    ポキポキ(指を鳴らす音)

    スズメ「確かにルイを任務に入れるために騙しているッス。でも、友達たちと会えることは本当ッス。テレビに出て「忍峠12」がコモンで有名になれば、必ず、ルイを冒険者の友達たちが見つけてくれるッス」

    ルイ「だって、ピココも、レニーも、サイも、私が、フラクター選帝国の忍者だって知ってるもん、もう会えないし、どんな顔して会えって言うの?裏切ったことを許してくれないもん…ずずっ」

    ツバメ「鼻水すするな。お前みたいな、ぶりっ子は、必ずウソ泣きの時は「ぐすん」って言うんだよ。あーイラつく」

    スズメ「止めるっすツバメ。ルイ、思い返すッス。そのピココもレニーも、サイも、本当の友達ならば、謝れば、きっと、許してくれるッス」

    ルイ「…確かに、そう考えれば、ピココも、レニーも、サイも謝れば許してくれるかな…」

    スズメ「シグレ様が責任者を務める「忍峠12」の任務は、コモン中で、芸能活動を行うユニットッス。

    この任務に参加していれば、必ず、冒険者のパーティの友達たちと会えるッス」

    ルイ「…判った。行く」

    ツバメ「来い、ルイ。その臭い身体を洗ってやる。お母さん、風呂場はどこですか?」

    ルイ「痛たたたた、髪の毛を引っ張んないで!」

    急に笑顔のルイの母親「はいはい、ルイの忍者スーツを用意します」

    場面は変わって、「忍者屋敷ドンデン返シ」

    蝉川時雨「ほう、スズメ、ツバメ、鏑流射を連れてきたな。でかした。これから、フラクター選帝国から、コモンの全ての国を行脚するコンサート・ツアーに出かける」

    ルイ「よろしくお願いいたします。蝉川様」

    蝉川「任務に参加できるなルイ」

    ルイ「はい、蝉川様」

    蝉川時雨「スズメとツバメは、シグレと呼んでいる。名前で構わん」

    ルイ「判りましたシグレ様」

    スズメ「シグレ様。その恥ずかしい恰好、何なんッス?」

    蝉川時雨「この恰好は、「忍び峠12」のプロデューサー「SIGURE(*’ω’*)」の姿だ。この恰好で、私はコモンに行く」

    スズメ「四人目は誰ッス?」

    蝉川時雨「実は、アテが無い」

    ツバメ「まさか、シグレ様、無計画だったのですか」

    蝉川時雨「そうではない。だが、若いくノ一達が、急に全員、任務中になってしまった。当初の予定では、四人目は、メガネ系のくノ一を加入させる予定だった」

    スズメ「スズメだって嫌っッス」

    ツバメ「シグレ様」

    蝉川時雨「なんだ、急に肩を揉んで、何を媚びへつらっているんだツバメ」

    ツバメ「シグレ様、スズメはリーダーの仕事で、やる気が無いようですよ?そろそろ、ツバメが、リーダーをする番じゃないでしょうか?」

    蝉川時雨「考えておく」

    ルイ「カッコ悪ぅ」

    ツバメ「ルイ、あんたね、アタシたちが、引きこもり地獄から救い出してやったんだ。もっと感謝しな」

    蝉川時雨「既に、リニアレールのエコノミークラスのチケットは取ってある。行くぞ、お前たち。丞恕駅を12:12分に発車する。乗る」

    スズメ「ガッテン承知ッス」

    ツバメ「ツバメのメジャーデビューのサクセス伝説の第一歩ですね」

    ルイ「ピココとレニーとサイに、また会う」

    ネクスト・ドラマ「ミュリンゲルン王国到着。全然売れない忍び峠12! さあ!目立つんだ!」

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