忍峠12,005

忍峠12,005

スパイだったジーン。シグレ、スズメ、ツバメはジーンと対峙する。そしてエクレアを食べているルイ。

シグレ「本当に、クローン人間だったかのか。カマを掛けただけだが」

ジーン「汚いと思います。騙すなんて」

シグレ「ならば、お前の所属は。フラクター選帝国帝国元老院直属の情報組織「シビリアンズ」の一員だな」

ジーンはポケットから、手榴弾を取り出した。

ジーン「行動フェーズ…、皆さん自爆しましょう。ここに超高性能爆弾があります」

シグレ「ハッタリだな。自爆する気なら、安全ピンを外している」

ジーン「汚いと思います。逃げ出さないんなんて」

ツバメがポキポキと指を鳴らした。

ツバメ「シグレ様。ツバメがジーンを捕まえて、ふん縛って、拷問に掛けます。そして、「シビリアンズ」の情報を全てゲロさせます」

ルイ「ジーンちゃんが拷問で廃人になったら、ルイちゃんが、着せ替え人形にして可愛がります。安心してください。どんな、服が似合うかな」

ジーンは顔が青ざめてダラダラと汗を流していた。

ジーン「まずい…ゴリラ女の忍者に、サイコパス女の忍者だ」

ジーンの周りから風が巻きあがった。

シグレ「気をつけろツバメ。ジーンは風の精霊使いだ。精霊使い型の兵士の実験体の噂がコイツだ」

ツバメ「私に任せてくださいシグレ様。「看破ノ矩」」

ジーン「危ないですよ。シールド・ウインドの中に、ブレード・ウインドを混ぜます」

部屋の中の床やソファが切り裂かれた。

だが、ツバメは、ジーンが起こした風の中に入っていった。正確には風がツバメを避けていた。

ジーン「精霊が見える?何が起きているの?」

ツバメ「これが狼煙家の忍術「看破ノ矩」だ。全ての魔法でも剣技でも、あらゆるモノの弱点を見切る。そして中に入っていける」

ツバメはジーンの前に立った。

ジーンは泣き出した。

ジーン「びえええええええええん、お父さん助けて!ヤマト人のゴリラ女に殺されるよ!」

ツバメは、ジーンの両頬を持ってグニグニと引っ張った。

ツバメ「ピーピー泣くんじゃねぇよ!お前が、空飛んで、アタシたちの仕事の邪魔していたんだな!危うく何度も捕まるところだったわ!こちとら命がけで忍者やってんだぞ!それに、そのゴリラ女発言は許せないな!」

カメラ太郎から三次元ディスプレイが浮かび上がって、サイボーグの老人が現れた」

キカイ博士「まってくれ、ジーンは、私の娘のクローンなのだ」

シグレ「やはりな。お前が出てくることは、時早見で見ていた」

キカイ博士「ジーンは、私の大切な娘だ、イジメないでくれないか」

シグレ「説明してくれないか」

キカイ博士「私の名前はキカイ・ザ・マシーン。通称キカイ博士だ。かつて、デュラント・セラミカという人間だったが、今は、サイボーグ科学者となっている」

シグレ「精霊使い兵士を人工的に製造する計画の噂は聞いたことがある。なぜ、クローン人間を作った」

キカイ博士「予算だ。勝手に政府の予算を使って自分の娘のクローン人間を作ることはフラクター選帝国では国庫金横領罪になり許されない。だから、娘のクローン人間作製のための予算獲得のために、自分の娘の遺伝子に精霊使いの遺伝子を組み込んだ、量産型精霊使い兵士ジーン・シリーズ作成要綱を提出し受理された」

シグレ「なぜ、ジーン・シリーズを作った。なぜ自分の娘のクローン作る必要があった」

キカイ博士「私の娘のジーンは、私と政治的に対立して反対陣営に行った。激しく対立し、激しく罵りった、あんな娘は要らないと私は心底思った」

シグレ「で、どうした」

キカイ博士「私は、人間の感情を捨て去るためにサイボーグになった。そして、ジーンのような失敗作を育てないために、私と政治的な主張が一致する、「思想教育」をインプットした、ジーンのクローン人間ジーン・シリーズを作成した。その二番目の「タイプ・エアリエル・ダイバー」が、ジーン・ツヴァイ・セラミカだ」

シグレ「フラクター選帝国ヤマト領の豪霊時将軍家は、「共存派」だ。だが、タイクーン家は「独立派」だ。知らないのか?」

キカイ博士「ま、まさか、君たちは、タイクーン家の忍者ではなく、将軍家の忍者なのか?私は「独立派」なんだ、そしてジーンも「独立派」として「思想教育」をインプットされている」

ジーン「皇帝陛下バンザーイ!コモン人を皆殺しにしろ!フラクター選帝国は優生人種の集まりだ!進軍ラッパを吹き鳴らせ!」

ツバメ「シグレ様、どうします。ここでジーンを消去しますか?このサイボーグとクローン人間の親子達は、すっげぇバカ」

シグレ「まあ、いい。政治的な対立は、どこでも起きる。正体が判ったジーンは無害だ。キカイ博士、取引をしよう。お前の娘は「独立派」だが、我々「共存派」のフラクター選帝国ヤマト領の将軍家の忍者たちは、ジーンを仲間として迎え入れる。それで良いかなキカイ博士?」

ジーン「お父さん。私がシビリアンズの一員だってバレちゃった」

キカイ博士「なんということだ、ジーン。それはマズイ。シビリアンズは、フラクター選帝国元老院の存在自体が秘匿されるスパイ組織だ。お前が、その一員だということは機密事項なのだよ」

シグレ「ジーンは、精霊使いだ。我々、ヤマト領の忍者達の、任務に参加してもらう。いいなキカイ博士。ヤマト領の将軍家の忍者達も必ずしも一枚岩ではない。繰り返すが、「必ずしも一枚岩ではない」。我々将軍家の「共存派」の忍者たちが、「独立派」と手を組めないわけではない。キカイ博士、お前の愛娘のジーンの扱いも悪いようにはしない。どうかな?」

ルイ「え、私、コモンの人たちと仲良くしたいから「共存派」の方がいいです。ぶべっし!」

据わった眼をしているスズメ。

ルイ「よくも、ぶったね、スズメ。ツバメだってビンタはしなかったのに」

スズメ「なんで、ルイは、ヤマト人を大切にしないで、コモンの友達を大切にするッス!」

ルイ「…だって、ヤマト人の友達いないもん。ぶべっし!また、ぶったね…スズメ…」

据わった眼をしているスズメ。

スズメ「説明するッス」

ルイ「うちの鏑矢(かぶらや)家は、忍びの名門だから、勉強して忍者マスターを目指せって、子供のころから親に言われて、忍者学校の小学生の時に既に挫折していたし」

スズメ「忍者マスター、煉獄京様の名前を継げる忍者は、ごく少数ッス。そんな過去があったのかッス」

ルイ「だから、一生懸命コモンの共通語を勉強して偏差値53まで上げたし」

ツバメ「それで、共通語の偏差値が、そんなに高いのか。コモンは、そんなに良い場所か?」

ルイ「だって、ピココたちと一緒に食べた。Tボーンステーキが美味しすぎて一キログラム完食したし、みんなで、直径3フィートのピザを食べて一時間ぐらい動けなくなったり…レニーは魔法使い見習いだけれど、結構食べるんですよ。スカウト・ウォッチのサイが、鮭を丸ごと、特性ガーリックソースでキャンプファイアーで焼いてアウトドア料理を食べたり…、巨大ハンバーガーを持ってダンジョンに入ったり…」

ツバメ「お前は、食い物の事しか考えていないのかよ!忍者なら、しっかりカロリー計算しろよ!そういや、お前、母親から渡された忍者スーツのサイズを直していないだろう?もしや…」

ルイ「ええ、ピココとレニーと、サイと一緒にいたときから、私の忍者スーツのサイズは同じです。フラクター選帝国から任務でミドルン王国に潜入している間、忍者スーツのウエストを仕立て屋で直した以外は、変わっていません。大体、巫女服の袴はウエストを直さなくても着られますから」

ツバメ「そういうことか」

スズメ「ルイは、何が不満ッス」

ルイ「だって、ヤマト領ってスゴイ競争社会じゃないですか。受験虐殺が子供のころから始まって…私は、冒険者のヤマト人の巫女、留衣で良かったんですよ…」

キカイ博士「ウンウン、そうだね、若さだね。忍者にも反抗期があるんだね…私も十代の反抗期の頃は確率偏微分方程式の研究をして反抗していたものだ…懐かしいな…」

シグレ「貸しを作るぞ、キカイ博士。後日、将軍家の忍者が、そちらに赴く。お前の娘は、「忍び峠12」のカメラマンから、ユニット・メンバーになる」

キカイ博士「嬉し恥ずかし、ウチの娘が芸能人になるなんて。どうしよう。困っちまった。おーい、ジーン、ラボの、みんなと一緒に応援するからな、頑張れ」

手を振るジーン。

ジーン「判ったよ、お父さん。これからジーンは、普通じゃない女の子に変わります」

キカイ博士「こちらからも、シビリアンズのメンバーが忍者マスターに、接触する。お互いフラクター選帝国の一員だ。「独立派」と「共存派」の些細な違いがあっても、フラクター選帝国のために協力はできるだろう」

シグレ「良い提案だ。受けよう。忍者マスター煉獄京様と、シビリアンズ長官への情報提供の相互ルートを作る。情報のやり取りをしよう」

「次回!忍び峠12。フラクター選帝国要人警護任務!ポラリーナ王国に渦巻く陰謀!」

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