忍び峠12,007
ジーンが忍び峠12のメンバーに加わってから二週間が過ぎた。

ルイ「ジーンちゃん。共通語の会話を教えて。ほーら、ジーンちゃんが大好きな、オレンジ・チョコレート「マーマェラ」が在りますよ」

ジーン「あー、ムカつく。このサイコパス女になんで、共通語を教えなければならないの。ね、カメラ太郎」
カメラ太郎「チームワークヲ著シク乱ス質問ニハ答エラレマセン」
ルイ「早く、来ないと、ルイちゃんが全部食べちゃいますよ。ほら一個食べた。あー美味しい」
ジーン「このサイコパス女、早く「マーマェラ」が売っている店を教えろ!」
ルイ「ダーメ。さ、早く来るんですよ。ジーンちゃん。そして共通語会話を教えたら、ご褒美で美味しい「マーマェラ」が食べられます」
ジーン「あー、判ったよ。教えればいいんだろう、教えれば。嫌だな」

スズメ「なんで、ルイは、そんなに共通語の勉強をするんッス。共通語の偏差値が53もあるのにッス」
ルイ「ピココ達と再会したら、抜け忍になるため、ぶべっし!あっ!いきなり、警告もなしにスズメがビンタした!」

ツバメ「おいおい、ルイ。軽々しく抜け忍になるとか言うなよ。ビンタ食らって当然だ」
スズメ「ルイは、抜け忍になることが、どれ程辛いことか判っていないッス」
ルイ「だって、ジーンに共通語を習って、共通語が上手くなったらピココとレニーとサイに再会したら、上手く謝って仲直りできるもん」
ツバメ「でも、ジーンも弱点が多いからな。共通語と、数学と化学と物理は偏差値が70越えているけれど、他の科目は、みんな偏差値がツバメ達、忍者と同じ25台だし。身体能力が高いと思ったら、頭に変な機械でダウロードした身体運動を自動で行っていただけだし」
ジーン「なんで、ツバメは、楽譜が読めなくて、音楽の偏差値が25なのに、あんなに歌が上手いの」
ツバメ「あたしは、カラオケが好きだから、楽譜が読めなくても、ボーカルパートを演奏してもらったら、一回聞いて、そのまま真似して歌えるんだよ」
スズメ「でも、ジーンは、ヤマト語の会話を一週間でマスターしたッス」
ジーン「でも漢字は書けない。あー悔しいな」
ツバメ「安心しろジーン。ツバメ達、忍者も漢字は自分の名前ぐらいしか書けない。漢字は難しいんだ」
ジーン「でも、ルイが、チート忍術を会得しているとは思わなかった」
ツバメ「ルイが、チート忍術を持っていなかったら、シグレ様が忍び峠12のメンバーにスカウトするはずないだろ」
ルイ「みんなで、ルイちゃんをイジメている。酷いんだ。だから、ルイちゃんは、いじけるんだ。いじいじいじ…」
スズメ「ジーンは、コモンの人達から人気があるッス」
ツバメ「悔しいけれど、ジーンが加入してから、忍び峠12は売れ始めているし。以前は128chでネタキャラにされているだけだったし」
スズメ「ジーン様様ッス」
ツバメ「ギャラが、忍者の少ない給料に上積みされるのは在り難いか。ギャラを食い物に無駄遣いしているヤツもいるし。忍者の自重筋トレを、ちゃんとやれ」
ルイ「あ、ツバメが、ルイちゃんをイジメている。イケナイんだ」

シグレ「こら、お前たち。ルイを仲間はずれにするな。それに、ルイも食べ物でジーンを釣るな」
ルイ「シグレ様。だって、スズメとツバメは同性同士のカップルだし。ジーンは、ヤマト人を差別しているし」
スズメ「はあ?何言っているッス」
ツバメ「おいおい、ツバメとスズメは、陣を奪い合っているんだ」
ジーン「私が差別するのは忌々しい「共存派」の売国政治家達だよ」
シグレ「だから、ルイも言葉を選べ。そうだな、みんなで、ルイがジーンを釣っている、オレンジ・チョコレート「マーマェラ」を売っている店に行くのはどうだ。どうした…ルイ?なんで泣いている」
ルイ「スズッ、だって、ピココもレニーも、サイも、そうやって、ルイと一緒に買い物してくれたもん…」
シグレ「ほら、泣くなルイ。じゃあ、みんなで、買い物に行くぞ。ルイはジーンに「マーマェラ」が売っている店を教えるのが今回の任務だ」
ルイ「(にやり)…良いんですか?あの店「マーマェラ」より美味しいチョコが沢山あるんですよ」
二時間後。
ツバメ「ああっ!どうしよう!ツバメはダイエットしてるから食べなくてよかった。ツバメ以外、みんな食べ過ぎで倒れている」
五時間後。
シグレ「これから、仕事と任務の説明をする」
スズメ、ツバメ、ルイ、ジーン「はーい」
シグレ「次は、ポラリーナ王国で、芸能活動をする。そして、同時に忍者としての任務で、フラクター選帝国の、元老院議員、アレン・キーリング商務総省の副大臣の、護衛を行う」
ツバメ「アレン・キーリングって有名な二世議員でしょ。親の七光りで、スピード出世している食わせ者って有名じゃない。私が愛読しているタブロイド紙の電子版に書いてあったし」
シグレ「余計な事を言うなツバメ。我々、フラクター選帝国の忍者達は、フラクター選帝国のために働けばいい。ジーン、あらかじめ聞いておく。アレン・キーリングは「共存派」だが、「独立派」の、お前は、この任務に参加できるか?」
ジーン「それは、難しいですね。お父さんに聞いてみます。おーい、お父さん」

キカイ博士「どうしたんだ、ジーン」
ジーン「お父さん。忍び峠12の任務で、アレン・キーリングという「共存派」の売国クソ野郎を護衛する任務に参加してもいい?」
キカイ博士「そうか、ジーン。結論から言えば許可する。アレン・キーリングは「共存派」だ。だが、暗殺された父親のナシス・キーリングは元「独立派」の重鎮でタビヲン王国の混沌の大地戦争が終結してから、「共存派」へ鞍替えの動きをしていた。アレン・キーリングは「共存派」だけでなく、「独立派」からも人気が高い元老院議員だ」
ツバメ「日和見主義者だから父親が殺されたのよ」
シグレ「ツバメ、余計なことは言うな。再度確認をする。キカイ博士、ジーンを、参加させて構わないか?」
キカイ博士「うん、ジーンの作戦参加を許可する。おや、どうした、ジーン」
ジーン「あの売国クソ野郎は、許せない。許せない。許せない…」
キカイ博士「マズイ。思想教育が行き過ぎたのかもしれん」
ジーン「お父さんが、教えてくれたんじゃない。「共存派」の売国クソ野郎は粛清しろって」
キカイ博士「蝉川さん、ジーンが暴走しないように監視してくれ」
シグレ「了解した」
フラクター選帝国製の空中に浮かぶ、路線エア・バスでボラリーナ王国に到着した「忍び峠12」。首都メレンのテレビ局「メレン放送」で、歌謡番組の収録に行く。事件発生。
高慢ちきな女の声「そこにいる野猿達は、邪魔じゃなくって」
長い金髪の巻き毛の少女が、背後に同じ制服を着た、少女たちを従えて腕を組んでいる。
ツバメ「何、この女。何、イキっているんだよ」
長い金髪の巻き毛の女「私は、コモンで、一番有名な、バイオリニスト「公爵夫人」の娘、イザベラ・クトイハですわ。野猿達は、お退きなさい」
スズメ「ふざけるなッス」
ツバメ「テメェ、何言っているか判っているのか、コラ」
ルイ「……」
ジーン「はあっ?」
毛皮のコートを着た老人が前に出てくる。
毛皮のコートを着た老人「ハハハハハ、この若い女達は、私がプロモーションをする、ガールズユニット「エレガンサー13」だ。失礼。私の名前は、スノッブ・ブリーチャー。「ブリーチャー・プロダクション」のオーナーだ」
金髪の若い女「私の名前は秘書の、ミス・ゴージャ」
赤毛の若い女「私の名前は秘書の、ミス・マニッシャー」
黒髪の若い女「私の名前は秘書の、ミス・イハレグ」
シグレ「私は、「忍び峠12」のプロデューサー「SIGRE」です、ウチの若いのは、血気盛んで、そちら様の、お嬢様方に不愉快な思いをさせたようです。どうです、ここで名刺交換でもしませんか?」
スノッブ・ブリーチャー「ハハハハハ、良いだろう。ミス・イハレグ、名刺を出してくれ。「SIGRE」さんと名刺交換をする」
収録に向かうスノッブ・ブリーチャー達。
ツバメ「なんだい、あの老人は。何様のつもりだい。三人も女の秘書連れて」
シグレ「気をつけろ。あの老人は、コモンで最近勢力を伸ばしている、多国籍犯罪組織「ナックル・カンパニー」と関係のある男、スノッブ・ブリーチャーだ。お前達も上手く「エレガンサー13」と付き合え」
スズメ「無理ッス」
ツバメ「スズメと同じ」
ルイ「野猿は酷いなぁ。ピココ達は、こんな可愛いルイちゃんを、ヤマト・ドールって褒めてくれていたのに。許せないな。許せないなぁ。どうしてくれようかな」
ジーン「アイツ等、ただの、バカの寄せ集めじゃないですか?」
シグレ「お前たち、無理か?」
スズメ、ツバメ、ルイ、ジーンが異口同音に「はーい」。
シグレ「お前たちは若いからな。集まれ。内密の話だ」
いそいそと周囲を気にしながら、集まるスズメ、ツバメ、ルイ、ジーン。
シグレ「今晩、アレン・キーリングは、このポラリーナ王国の我々が居る、首都メレンに、元老院専用機で到着する。そして、フラクター選帝国とポラリーナ王国の通商交渉を開始する。フラクター選帝国にボラリーナ王国産の畜産物の輸入量を増やす条約の全権を元老院議会から任されている。既に、「独立派」の暗殺部隊が、ポラリーナ王国に到着したとの報告が、シビリアンズ経由で入ってきている。通商交渉は深夜にまで及ぶ可能性が在る。これから我々の任務の内容を説明する」
「次回!忍び峠12。バトル開始!」